
夏が近づくたびに、「少し動いただけで滝のように汗が出る」「このままだと熱中症で倒れてしまうのでは」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
実際に、肥満の人は熱中症になりやすいと医学的にも指摘されています。しかし、肥満の人が熱中症になりやすいのには明確な理由があり、理由がわかれば対策を具体的に立てることも可能です。
本記事では、肥満の人が熱中症になりやすい医学的な理由や、今日から実践できる熱中症対策の方法などを解説します。夏の暑さが心配な方や、ご家族の体調が気になる方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
肥満の人が熱中症になりやすいのには、明確な理由があります。ここでは、肥満の人が熱中症になりやすい理由を医学的な視点から解説します。

肥満の人が熱中症になりやすい理由としてまず挙げられるのは、皮下脂肪が多く体内に熱がこもりやすいからです。脂肪は熱をため込みやすく、外に逃がしにくい性質を持っています。
体の中に断熱材を抱えているような状態になり、皮下脂肪が多いほど体内で発生した熱がこもりやすくなるのです。
「汗っかきなのに体がなかなか涼しくならない」と感じている方は、皮下脂肪による断熱効果が影響している可能性があります。
体表面積に対して体積が大きく、熱を放散しにくいことも、肥満の人が熱中症になりやすい理由であると考えられます。体は主に「汗の蒸発」と「皮膚表面からの熱の放散」によって体温を下げています。
しかし、肥満の人は体積に対して表面積が小さいため、体の中で作られる熱の量に対して、外に逃がすための皮膚面積が相対的に小さくなってしまうのです。体格が大きい人ほど熱がこもりやすいのも、肥満の人が熱中症になりやすい原因と言えるでしょう。
心臓・血管への負担が大きく、体温調節機能そのものが低下しやすいのも、肥満の人が熱中症になりやすい理由のひとつです。体温を下げるには、血液を皮膚表面まで送り届けて熱を外に逃がす必要があります。
しかし、体重が重いほど全身に血液を巡らせるための負荷が増え、体温調節を担う循環機能が働きにくくなることがあるのです。体格が大きいと、同じ動作でも消費するエネルギーや発生する熱量が多くなるため、体温調節機能への負担はより大きくなる傾向があります。
そもそも、熱中症はどのようにして起こるのでしょうか?ここでは、熱中症になるメカニズムを解説します。

気温や湿度が高い環境にいたり、運動をして体内に熱が発生したりすると、体温は徐々に上昇します。体温が上がると、通常は汗をかいたり血管を広げたりして、体温を下げようとする仕組みが働き始めます。
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、気化熱による冷却効果が十分に働きません。加えて、風通しの悪い服装や環境も、熱を外に逃がす妨げになります。体内の熱を放出できなくなると、「熱はこもっているのに、外に逃げていかない」という状態に陥ります。
熱を逃がせない状態が続くと、体温調節が追いつかなくなり、体温はさらに上昇します。体温調節ができない状態が続くと悪循環に陥り、めまいや頭痛、吐き気といった熱中症の症状へとつながっていきます。

熱中症は、初期症状に早く気づくことで重症化を防ぎやすくなります。次のような症状が見られたら熱中症の可能性があるため、注意しましょう。
初期症状に気づいたら、まずは涼しい場所へ移動し、衣服を緩めて体を冷やしましょう。首、脇の下、太ももの付け根など太い血管が通る部分を冷やすと、効率よく体温を下げられます。
水分と塩分を補給できるようであれば、経口補水液などで摂取することをおすすめします。

以下の項目に当てはまる数が多いほど、熱中症のリスクが高い状態だといえます。ご自身やご家族の状態を確認してみてください。
チェックが多く当てはまった方は、次章以降で紹介する対策をぜひ積極的に取り入れてみてください。
暑さへの耐性は日々の習慣によって少しずつ高められます。ここでは、肥満の人が熱中症を予防するための生活習慣のポイントを解説します。
「暑熱順化(しょねつじゅんか)」とは、体を少しずつ暑さに慣らしていくことです。軽いウォーキングや入浴などで意図的に汗をかく習慣を続けることで、汗腺の働きが活発になり、少ない体温上昇でも効率よく汗をかいて体を冷やせるようになります。
いきなり炎天下で激しい運動をする必要はなく、涼しい時間帯の軽い散歩や、ぬるめの湯船に浸かる習慣をつけていきましょう。無理のない範囲で、本格的な夏が来る前から少しずつ体を慣らしていくのがポイントです。

睡眠不足は自律神経の働きを乱し、体温調節機能の低下につながります。寝苦しい夜が続くと熱中症のリスクも上がってしまうため、寝室の温度・湿度を整え、しっかりと睡眠時間を確保することを心がけましょう。
個人差はありますが、睡眠時間は7~8時間程度を目安にしてみてください。室温を25〜26℃・湿度を50〜60%に保って快適に眠れる空間を作ったり、就寝前と起床時にコップ1杯の水を飲んで水分補給をしたりするのも効果的です。

朝食を抜くと体内の水分量が不足するだけでなく、体温調節に必要なエネルギーも不足しやすくなります。特に汗をかきやすい方は、朝のうちに水分と栄養をきちんと補給しておくことが、日中の熱中症予防につながります。
おすすめの朝食メニューは、ご飯と味噌汁です。水分量が多いご飯を主食にし、味噌汁でタンパク質やビタミンを一緒に摂ることで、睡眠中に失われた水分・塩分・エネルギーを補給できます。
ほかにも、梅干し・漬物・卵・納豆・豆腐なども、朝食におすすめです。
買い物や通勤・仕事のため、気温が高い日中に外出する日もあるでしょう。ここでは、肥満の人が外出時にできる熱中症の対策法を7つ紹介します。

家を出る前に、天気予報などで気温と湿度を確認しておきましょう。湿度が高いと汗がうまく蒸発せず、体温がこもりやすくなるためです。
湿度70%を超えると、汗による体温調節が難しくなります。気温が30度未満でそれほど高くなくても、湿度が高い日は油断しないようにしましょう。

環境省や気象庁が発表している「熱中症警戒アラート」や暑さ指数(WBGT)は、気温・湿度・輻射熱をもとに算出した、その日の熱中症リスクを示す指標です。
WBGTはおおよそ次のような段階に分かれており、段階に応じて行動の目安が変わります。
環境省の公式サイトでは、地域ごとのWBGT実況・予測値を確認できます。WBGTをもとに、「今日は無理をしない」「外出は涼しい時間帯にずらす」など、その日の行動の参考にしてみてください。
汗をかきやすい方は、通気性・速乾性に優れた素材を選ぶのが重要です。汗を素早く吸収して外へ発散する服を選ぶことで、肌に汗が張り付く不快感を軽減しながら、気化熱による冷却効果も得やすくなります。
服選びの際は、以下のポイントを意識してみてください。
商品説明に「速乾」「接触冷感」「吸汗」などの機能表示がある服も、熱中症対策におすすめです。
体にぴったりと密着する服は、汗の蒸発を妨げ、熱がこもりやすくなります。締め付けの強い服は皮膚表面の血流を圧迫し、体温を放散するための血液循環を妨げてしまう可能性もあります。
服を試着するときは、次のような状態になっていないか確認してみてください。
上記に当てはまる場合、体を締め付けることで熱がこもりやすくなっています。ジャストサイズにこだわりすぎず、体格に合った大きいサイズや、ゆとりのあるシルエットの服を選ぶことが大切です。

「接触冷感インナー」とは、肌に触れた瞬間にひんやりとした感触が得られる服です。生地に含まれる特殊な繊維や鉱石が肌の熱を吸収することで、触れた瞬間のひんやり感を生み出しています。
インナーを選ぶときは、以下のポイントを意識してみてください。
シャツの下にインナーを1枚着るだけで、体感温度が大きく変わります。汗を吸ったままだと冷感効果が薄れるため、長時間外出するときは替えを1枚持ち歩くのもおすすめです。
喉の渇きを感じた時点で、体はすでに軽い脱水状態に入っていることが多いといわれています。特に汗をかきやすい方は、渇きを感じる前から、こまめに水分を補給する習慣をつけましょう。
一度に大量に飲むと胃腸に負担がかかり、吸収が追いつかず尿としてそのまま排出されてしまうこともあります。「1度にたくさん」よりも「少量をこまめに」飲む方が、体への吸収効率もよくなります。

大量に汗をかくと、水分だけでなく塩分も一緒に失われます。水だけを大量に補給すると、体内の塩分濃度が薄まってしまい、かえって体がだるくなったり、めまいを感じたりすることがあります。
汗を大量にかく方は、次のような方法で塩分を補給することを意識してください。
ただし、塩分の摂りすぎは別の健康リスクにもつながるため、大量に汗をかいた時に補給することが大切です。普段の食事から極端に塩分を追加する必要はなく、発汗量に応じた調整を意識しましょう。
ここでは、熱中症対策で使える夏服を4つ紹介します。

吸水速乾・接触冷感・抗菌防臭機能を兼ね備えたインナーです。メッシュ状の生地で見た目にも涼しく、ストレッチ性があるため動きやすいのが特徴。放熱率は90%で、体内に熱が籠りにくくなっています。
程よくフィットしながらもたつかないサイズ設計で、アウターの下に一枚着るだけで体感温度を下げられます。サイズ展開は3L~6L、価格は税込2,189円です。

PCM加工素材「Texion」を使用した冷感Tシャツです。冷蔵庫で10分冷やすと、さらに冷感効果が高まります。未加工の繊維と比べると、生地の表面温度が最大4℃低くなるのが特徴です。
150gの軽量素材に4WAYストレッチを採用しており、着心地も快適。カジュアルに着られるオーバーサイズシルエットで、汗をかきやすい方にもゆったりとフィットします。サイズ展開は3L〜6L、価格は税込4,950円です。

2つのファンを内蔵したTシャツです。ファンから取り込んだ外気と汗の気化熱によって体を冷やす仕組みを取り入れており、着ている間は体をしっかりと冷やせます。サイズ展開は3L〜4Lと5L〜6L、価格は税込19,690円です。
作業着タイプのベストとは異なり、カジュアルなTシャツ型なので、キャンプや釣り、犬の散歩といった日常の場面でも、違和感なく着用できます。特に汗をかきやすく屋外での活動が多い方におすすめです。

EDWINの人気シリーズ「ジャージーズ」のハーフパンツです。冷感と放熱性のある鉱石を練り込んだポリエステルを使用しており、肌との接地面積を減らすことでドライな着用感を実現しています。
裾幅はすっきりとしたシルエットで、穿き心地はラクなのに、見た目はきれいめにフィットしているように見せられます。サイズ展開はLL〜5L、価格は税込7,700円です。
ここでは熱中症に関するよくある質問に回答します。
梅雨明け直後の7月上旬から、気温がピークを迎える8月にかけては特に注意が必要です。体がまだ暑さに慣れきっていないうえ、気温・湿度ともに高くなりやすいためです。
また、近年は9月に入っても厳しい残暑が続くため、油断せず秋口まで対策を続けることをおすすめします。
汗をかいた際の水分・塩分補給としてスポーツドリンクは有効ですが、「たくさん飲めば飲むほど良い」というわけではありません。
市販のスポーツドリンクや清涼飲料水には糖分が多く含まれているものもあり、日常的に大量に飲み続けると血糖値が急上昇し、喉の渇きがさらに強くなって、また飲んでしまうという悪循環に陥ることがあります。
日常的な水分補給は水や麦茶を基本とし、大量に汗をかいた時だけ塩分・糖分を含む飲料や経口補水液を活用する、というメリハリのある飲み方を意識しましょう。
一度熱中症を経験すると、体温調節機能が一時的に低下し、同じ環境で再び熱中症になりやすい状態が続く場合があります。一度熱中症を経験した方は、通常以上に水分補給や休憩を意識し、無理をしないようにしましょう。
肥満の方以外にも、体温調節機能が未発達な子ども、加齢により暑さやのどの渇きを感じにくくなる高齢者、糖尿病や心疾患などの持病がある方、日頃の運動不足で汗をかく機能が衰えている方などが、熱中症になりやすいとされています。
肥満の人が熱中症になりやすい理由としては、皮下脂肪による断熱効果や、体積に対する表面積の少なさなどが挙げられます。正しい知識を持って対策すれば熱中症のリスクは減らせるため、できる範囲で生活習慣を見直したり、こまめに水分を補給したりしましょう。
服装は、自分の体格に合ったものを選ぶだけでも、体内の熱のこもり方は大きく変わります。今回紹介した接触冷感インナーや通気性の良い夏服なども活用しながら、無理なく安全に夏を乗り切っていきましょう!