ぽかぽかとした陽気が心地よい春。里山には草花の新芽が顔をのぞかせ、おいしい山菜が採れる季節です。しかし山菜に詳しくないと、旬のものを見つけたり、食べられない雑草と見分けたりするのは難しいもの。
今回は、春に旬を迎える山菜を7種紹介します。採り方やおすすめレシピも掲載しているので、山菜に興味がある方はぜひ読んでみてください。
春の山菜といえば、セリやワラビなど様々なものが挙げられます。数ある春の山菜のなかから、特におすすめの種類を7つ紹介しますね。
セリは細長い茎の先端に、ハーブのような小さい葉がたくさん付いている春の山菜です。「春の七草」の1つに数えられており、数少ない日本原産の野菜です。爽やかな風味に含まれる成分には、解熱・解毒や、胃を丈夫にする効果が期待できますよ。
春は暖かくなるとはいえ、天候によっては肌寒く感じる日もあります。そんなときは、セリを使った鍋でほっと一息付いてみましょう。セリは煮込み過ぎると風味や栄養価が失われるため、鍋に入れるタイミングは最後にするのがコツです。
食べごろのセリの長さは、20〜30cmくらいです。群生しているところの根をかき分けて、茎が太いものを採りましょう。根っこから採るときは、翌年以降の株を残すことを意識してください。
セリと似たような見た目で、毒性が強い「ドクゼリ」は要注意。セリとドクゼリを見分けるには、根を確認します。セリの根は髭のような状態で、ドクゼリの根はワサビのような形をしています。ドクゼリの根を縦に割ると竹のような状態になっているため、しっかりと見分けるようにしましょう。
ワラビは、細長い茎の先端に若芽がちょこんと付いている春の山菜です。奈良時代末期に成立した『万葉集』にも登場しており、古くから日本人にとって馴染みの深い山菜でもあります。茎から採れるデンプンは、「わらび粉」という和菓子の材料としても活用されています。
ワラビは苦みやえぐみが強い山菜なので、下処理としてあく抜きをしっかりとするのが大切です。あく抜きが完了した状態のワラビに、ニンニクや醤油、ラー油などで濃いめの味付けをすると、ご飯のお供としておいしくいただけます。
ワラビを採る際は、全体に産毛のようなものが生えているものを選んでみましょう。見た目は茎が太くて短く、先端の新芽が下を向いているものがおいしいですよ。ワラビは鮮度が落ちやすいため、採取したら2〜3日以内に食べきってくださいね。
ウドは、太めの茎とふさふさとした新芽が特徴的な春の山菜です。食べるときは、基本的に新芽を使用します。風味と歯ごたえを損なわないようにサラダにするほか、穂先を天ぷらにしたり、下処理で出た皮をきんぴらにしたりと、様々な食べ方ができます。
「新芽のみを食べて、茎を捨てるのはもったいない!」という方は、きんぴらにして食べてみましょう。きんぴらならではの甘辛さと、ウドのシャキシャキ感がクセになり、どんどん箸が進みますよ。
ウドの茎は産毛に覆われており、葉の形は細かくギザギザしています。来年以降も再びウドが生えてくるよう、根を残して採取しましょう。山の斜面に生えていることが多いため、滑りにくい靴を履いて採りに行ってくださいね。
フキノトウは、「フキ」のつぼみにあたります。少しクセのある苦みと香りがあり、「大人の味」と称されることもあります。苦みには新陳代謝の活性化、香りには食欲を増進させる効果が期待できますよ。
フキノトウも、下処理のあく抜きが重要な春の山菜です。余分なえぐみを除去しつつ、山菜ならではの香りが残るよう、気を付けながら下処理をしていきましょう。あく抜きが完了したフキノトウのほろ苦さと、味噌の甘辛さは相性抜群です!
フキノトウは、田んぼのあぜ道、河原、里山など、水気がある場所によく生息しています。葉とつぼみが開ききっていると苦みが強くなるので、葉もつぼみも閉じている状態のフキノトウを選びましょう。フキノトウの根には「ペタシテニン」という毒素も含まれているため、根は残した状態で採取してくださいね。
ウルイは、長ネギとホウレンソウを合わせたような見た目が特徴的な春の山菜です。他の山菜と比べると、味や香りにクセが少なく、様々な料理に取り入れやすいのが魅力。食感はネギのようにシャキシャキとしており、食欲がそそられますよ。
味や香りにクセが少ないウルイは、おひたしにして食べるのがおすすめ!調味料やかつお節の風味もしっかりと感じられて、おいしく食べられます。シャキシャキとした歯ごたえを残したいので、茹で過ぎには注意しましょう。
ウルイは、主に山地や草原などの、湿気がある場所に生息しています。葉が開ききっていない状態のものが、食べごろです。葉が開いているウルイはその場で葉を取り除き、茎の部分だけを採るようにしてみてください。
アケビは、芽と実の両方を食べられる山菜です。アケビの芽は、一見すると空き地や山地に生えているツルのよう。アケビの実は薄紫から紫色で、縦に割ってわたの部分を取り除いてから食べます。アケビの芽を食べられるのは春、実は秋くらいが目安です。
今回紹介するのは、アケビの芽を使った料理です。あく抜きしたアケビの芽の苦みと出汁醤油の風味、卵黄のまろやかさは相性ばっちり!晩酌のお供としても活躍しそうです。
春のアケビは山のふもとの道路脇をはじめ、色々な場所で採取できます。おいしいアケビを採るときは、芽が伸びすぎていない新芽を選んでみましょう。新芽は先端の15〜30cmくらいの部分が特においしいですよ。
行者にんにくは、普通の生のにんにくよりも強烈な香りを放つ春の山菜です。香りが強すぎて、2~3日たってもにんにくの匂いが残ることもあります。食べるのは、主に緑色の葉の部分です。
強烈な香りの行者にんにくは、餃子やチャーハンなどの中華料理の具材にするのがおすすめです。行者にんにく、お肉、油の匂いが漂ってくると、お腹が鳴りそうになります。匂いが残りやすいため、人と会う予定がないときに作るのがよいかもしれません。
行者にんにくは、繁殖力が低い春の山菜です。新芽が出ても、5年ほどは葉が1枚しか生えないそうです。行者にんにくを採るときは、葉が2枚付いているものだけを選び、来年以降も山菜採りができるように配慮しましょう。
行者にんにくと見た目がよく似ている有毒植物、イヌサフランは要注意です。行者にんにくには強いにんにく臭があるため、臭いの有無で見分けてくださいね。
爽やかな香りがあるものや、ほろ苦さを感じられるものなど、春の山菜はとても個性豊かです。ハウス栽培などにより年中スーパーで見かける品種もありますが、やはり旬の時期に採れたものは、味も栄養価も格別!今回紹介したレシピを参考にしながら、春の山菜をおいしくいただいてみてくださいね。
山菜を採る際、田んぼのあぜ道や里山は私有地のため、所有者の許可が必要です。山菜採りの最中に足を滑らせて、事故が発生する場合もあるので、身の安全には十分注意しましょう。安心して山菜を自分の手で採ってみたい方には、体験教室やツアーへの参加がおすすめです。