心も体もビックな人の超一流な取り組みを掘り下げる「BIGな流儀」。日本各地で活躍するビックな人たちが熱く掲げる「世界中の人たちを笑顔にする」本気の取り組みに密着するL-lifeの連載3回目。
BIGな流儀Vol.01 障害児通所支援事業所を展開する鈴木彰伯氏(116Kg)
BIGな流儀Vol.02 沼津=北伊豆計画の先導者 沼津の魅力を発信し地域活性化に挑む小池祐一郎氏(110Kg)
社会貢献という名のビッグメンたちの本気の取り組みが世界中の様々な人の人生に楽しさという彩りを添える。大きいサイズのメンズ服通販サイト「ミッド・インターナショナル」が展開するビックサイズプロジェクト、「Proud of 100k(プラウド・オブ・ワンハンドレッド)」のモデルや日本各地で活躍するビックな人たちの想いを届けます。
ローカル電車がガタゴト走る心地の良い音を聞きながら向かうと、突如現れるカフェのように洗練された白い建物。いったい何のお店かな?と思わず歩み寄ってしまう人も多い、看板も飾り気も無いシンプルな外観の中央には温もりを感じる木のエントランス。超隠れ家的なこの真っ白な建物は知る人ぞ知る、心と体の癒しスポット「ほてい鍼灸院」。その鍼灸院を営むのが、今回の主役 鍼灸師の大森太亮氏だ。
鍼灸院に到着すると、思わずこちらまで笑顔になってしまう大森氏のにこやかな笑顔と鍼灸院らしからぬオブジェに出迎えられた。この笑顔、まさに癒しワールドのはじまりだった。
院内に一歩足を踏み入れると、檜のなんとも言えない穏やかな良い香りが胸いっぱいに広がる。洗練された院内には和モダンなお花やスタイリッシュなアート作品がずらり。
一瞬、鍼灸院に来たことを忘れてしまうほど、カフェを思わせるおしゃれな外観と内装。同行したスタッフが思わず、「鍼灸院らしくない、想像と全然違う!」とつぶやいてしまったほど。
「イメージと違って嬉しいです。針って少し怖いイメージがあると思うので、初めての方はとくに緊張されていると思うんですよね。なので、嗅覚、視覚、香りや絵から、少しでも癒しを感じてもらって、針のイメージや怖さを払拭してもらえたらと思って設計しました」。
その言葉通り、エントランスから靴を脱いで中に入ると、高い天井、板張りの床、整然と整理された本棚、そして壁には大森氏が1つ1つ選んだアート作品が。無垢の檜の板が張られた床から漂う癒やしの香りに、もはや針治療を受けなくとも五感がとろけてしまいそうなほど、院内は心地良さで溢れていた。
20代の頃から針治療の世界に身を投じてきた大森氏。そもそもなぜ針鍼灸師になろうと思ったのか?
「もともと、幼い頃から病気になっても病院には行かない家だったんです 」。 と笑顔で語る大森氏。体の調子が悪くなってもただただ寝る、体をさする、薬は飲まない。いま思えば東洋医学的な考え方で体調を整えてきたという。
そんな幼い頃からの家の習慣が無意識に東洋医学への興味を養い、高校3年生の時に突如部活を辞め、整体師の道を志すことに。
高校3年生から体のツボの本を読みあさり、家の近くの整体院へ弟子入りを申し出るなど、鍼灸院開業の一歩を踏み出した大森氏。漠然とした東洋医学への憧れを抱きながら進路に迷い続け、高校生の時に運命的に出会ったのがスポーツマッサージの求人だったという。面接に合格し、スポーツマッサージ師として採用され、地元の愛知県を遠く離れた地で「癒し」を模索する人生がスタートした。
だが、スポーツマッサージの仕事を始めて数年が経った頃、タイトな出勤スケジュール、1人暮らし、都会の喧噪や過密から徐々に体がむしばまれていったという。動悸、めまい、息切れなど、体の不調を強く感じるようになっていった大森氏。いろいろな治療を試し、最終的に知人の紹介で受けた少数針治療が大森氏の道を決定的にした。鍼灸で受けた 少数針施術により、嘘のように体の回復を感じたという。
それまでは明日のことを考えると不安で不安で眠れない状態が続いていたなかで出会った鍼灸の力。鍼灸によって完全復活したその感動が決定打となり、大森氏は鍼灸師として自分の鍼灸院をOPENさせる道を本気で目指すことになったという。
体調改善だけでなく、それまで抱えていたストレスも徐々に緩和し、まさに身をもって鍼灸の力が誰かの手助けになることを実感した。すっかり体調が回復し、それまで抱えていたストレスも徐々に緩和されていくことで、改めて、自分と同じように不安やストレスで不眠や不調を抱える人たちに少しでも癒しを提供したい、助けになりたい、と考えるようになっていったという。
「自分の鍼灸院を訪れた人には、身も心も軽くなってもらいたい。そんな鍼灸院を作りたいと思いました 」。
そんな強い想いを自分の核として掲げた大森氏。鍼灸の様々な試験、修行を経て、晴れて2021年に「ほてい鍼灸院」を愛知県一宮市に開業した。まさに有言実行である。
OPENまもなく「超隠れ家的鍼灸院」として話題を呼んでいる「ほてい鍼灸院」。外観も内装もシンプルで、ただいるだけでも癒される空間作りはもちろん、注目されるのはその問診の丁寧さ。実は、ほてい鍼灸院は問診だけで1時間ほどの時間を費やす。丁寧な問診、その理由は?
「鍼灸とは体の外側だけではなく、内側に働きかけるものでもあります。東洋医学では体の不調は【気】から来ている物が多いとされているので、深層心理として体の奥、いわゆる心に問題が出てくる場合があるんです。カウンセリングではありませんが、本当の不調を探るためにも、ゆっくり話をお伺いし、大元の不調の原因を問診で想定したいんです 」。 未病や病名のつかない不調で困っている患者さんのため、しっかりとまずは当たりをつけることで、早い体調回復に努めたいと願う大森氏。
「僕はカウンセラーではないので、心のケアということはできません。ですが、抱えている悩みからくる症状を予想しながら、ツボにアプローチし、少しでも早く体調改善を促したいと思っています。だからこそ問診も含めた全てがほてい鍼灸院の強みだと思っています 」。
常に患者さんの体とメンタルに語りかけ、最善の手立てを提供したいという想い。
「それが僕にできる人助け」と語る大森氏。
その言葉通り、ほてい鍼灸院では「少数針=少ない針」での施術を採用している。
「何事も『過ぎる』は体に負荷をかけます。自分自身も過去に針を打たれすぎて、かえって体調が崩れてしまったことがありました。ツボに針を刺すことで、ツボの反応を見ながら、また次のツボを選んでいます。しっかり効いているのか?そうでないのか?ツボと対話しながら少しずつアプローチを変えていきます。問診時間を充分に取っているのはその人の体に合った状況を徹底的に知るためでもあります。さらに、僕の場合は触診にも注力しています。しっかりと体の状況を確認することで、効率良く針を打ち、患者さんの体の負担も軽減したいと思っているんです 」。
同じ症状でも針を打つ場所が変わったり、違う症状でも同じ所に針を打つ場合もあるという。その人その人の体の症状を見て、聞いて、感じることでより改善に近づくという。
「体がしんどくてここを訪れてくれているので、可能な限りここではしんどい思いをして欲しくないと思っています。だからこそ、体の負担を減らすためにも患者さんをまずはしっかり知ること、これが僕が1番大切にしていることです 」。
患者さんの多くは、長年つらい痛みに悩まされている人も多い。こわばった体やコントロールできない痛みを改善したいと願う患者さんたちに、負荷の少ないアプローチを提供することが自分の使命だと語る大森氏。
「小さなお子さんを抱えている主婦の方や、それこそお子さんにも体の不調があったりする方も多くて。でも針が怖くて鍼灸を受けられないという方もいらっしゃいます。僕は身も心も軽くなっていただき、その後の人生を快適に過ごせるお手伝いがしたいと思ってこの仕事をしているので、そういった方にこそ針を受けて欲しいと思っています 」。 と語る大森氏。
ほてい鍼灸院では針が苦手という方たちのために、「ささない針」という施術も施している。
実は、針治療に苦手意識のあったL-Lifeスタッフ。実際に、「ささない針」で施術をしてもらったところ、冗談抜きに体の軽さを実感。更に、万年肩こり・首痛・眼精疲労に悩まされ、重い石を頭に乗せられていた感覚がフッと消え、「え?何これ?!ウソ」と驚きの声が出てしまうほど。
なにか施術をされた感覚はほぼ皆無なのに、驚くほどの効果を実感。施術前に問診でしっかりと話を聞き、不調の原因にピンポイントでアプローチ。これぞ他院とはひとあじ違う、ほてい鍼灸院の施術だ。
「何事もシンプル・イズ・ベストだと思っています。だからこそ、少数針を僕は推奨しています。ほてい鍼灸院に来てくださった患者さんが、ここにくると体が楽になる、気持ちも軽くなった、と言ってもらえることが嬉しくて。やっぱり心と体が正常でないと楽しさや豊かさを100%感じることができなくなってしまうと思います。人生は楽しくあるべきですし、そのための土台である体と心が健康であることは生活の中でとても大切なことだと思っています 」。
徹底的に患者さんを知ることに拘り続ける「ほてい鍼灸院」。多面的観察で患者さんの現状を知ることが体調回復のスピードを上げる。訪れた瞬間に、顔色、爪や舌の状態を観察する姿に、患者さんへの想いの強さを感じ取った。常に患者さんを元気にすることを考え続ける大森氏。
「ツボに針を打つときは無心ですよ。念を込めすぎると思いが偏り過ぎて強く入ってしまったり、気がたまりすぎてしまって、かえって体に負担をかける結果になってしまうので。施術は常に全体に気を散らせながら、今まで考えていたことを捨てる、いわゆる心の断捨離をしながら、お一人お一人と向き合うこと、それを大切にしています。少数針も患者さんのお体のことを考えた結果です 」。
単純な針治療ではない、患者さんの心と体に徹底的に寄り添う大森氏の施術は針治療の域を超えた究極の「人助け」の形だと感じる。
冒頭でも触れたように、ほてい鍼灸院の外観も内装もカフェのようにおしゃれ。五感で癒しを感じることが出来る。
「『癒し』というのは僕の中での究極の人助けだと思っています。ここを訪れた人、みなさんに入った瞬間から癒しを感じていただき、ここでしか味わえない『非日常空間』でゆっくりとした時間を過ごしてもらいたいと思っているんです 」。
その言葉の通り、鍼灸院は究極の癒しの空間として、嗅覚・視覚・聴覚など、五感に働きかける設計がされている。無垢の檜で作られた床、脳を優しく刺激するお香の香り、目にも鮮やかな生け花や絵画の数々。
「心を解放して欲しくて、植物や香りは常に置くようにしています。リラックスしていただくには五感に働きかけるのが1番なので。黒いものは出来るだけ置かないようにしています。黒はどうしても圧迫感があったり、不安をかき立ててしまう。心が解放される白や気持ちが和らぐベージュなど、色彩にもこだわっています 」。
東洋医学の医学書などが整然と並ぶ本棚は圧迫感の無いよう、かなり低い位置に設置。目線より高い位置には何も置かないという徹底ぶり。窓の位置や吹き抜けの天井など、様々な箇所に癒しへの拘りが感じられる設計。極めつけは、建物の基礎。
「実はこの建物の基礎には埋炭をしていて、炭を敷き詰めることで土台から癒しを感じられるように設計しているんです。人は自然の中に返ることで、素の自分を取り戻したり、開放感を得ることで本当の自分と向き合えたりするので、ここに来た方にはそのような体験をしてほしいと思っています 」。
とことん癒しにこだわるのは、全て患者さんの心身の負担を軽くするためだという大森氏。そのため、施術室は全て個室になっており、お1人お1人が完全にリラックスできる空間を提供している。空間を大胆に使った内装は廊下も広く、開放感抜群。ずっとここにいたくなってしまうほど居心地が良い。
「お花や絵画も今まで自分がいいなと思った物を置くことにしています。人間、感性というのはとても大切で、好きな物は自分で選んで良い、自分の発想は自由で良いということを、ここを訪れる患者さんにも感じてもらえたらと思っています。心の不安から体調を崩すケースも多く、そのほとんどは不安から来るもの。キレイな物を目にして五感を養うことで、不安要素が薄れていく、僕はみなさんにそんな風に思ってもらいたいと考えています 」。
その言葉の通り、四季折々のお花が美しくディスプレイされているほてい鍼灸院。さらにはあまりの開放感に、床で寝転がってしまう患者さんもいるという。心と体を癒しに何度でも訪れたくなる鍼灸院、それがほてい鍼灸院なのだと実感。
現在は愛知県一宮市に鍼灸院を構えている大森氏。日本全国で不調を抱えている方にも施術を受けてもらいたいという夢を掲げている。愛知県のお店を飛び出し、三重県や岐阜県など東海エリアに出張施術もしているという。
「心身の癒しを多くの方に体験していただき、つらい思いは永久には続かないということを知って欲しい。そうすれば、本当に人生は豊かで楽しくなると思うんです。だから今後は日本全国にほてい鍼灸院の施術を広めていきたいと思っています 」。
そしてその夢はいま現在「青空鍼灸院」という形でスタートしている。
「五感というのは自然と密接に関わりがある。だからこそ自然に触れることで心身の不調の軽減に繋がったりもします。今は鍼灸院というこの建物の中で施術を受けていただいていますが、時には自然の中で心を解放しながら施術ができたらと思っています 」。
芝生の上での青空施術、カフェ庭園での施術、星空を見ながらの夜空イベントも開催しているという。屋外でほてい鍼灸院の施術を受けた患者さんからは
など、嬉しいお声をいただいているという。いつもと違う空間で、いつもと異なる心持ちで、自分と向き合える時間が持てる「ほてい鍼灸院」の施術は唯一無二といっても過言ではない。外での施術は「とにかく自分も患者さんも楽しんで欲しい」と語る大森氏。体の不調改善はもちろん、非日常空間だからこそ味わえるワクワク感を一緒に楽しみたいと言う。
「外での施術時は、とにかく自分もテンションの上がる服で臨みます。その方が楽しさが湧いてきて、患者さんにも『楽』が伝わると思うので 」。
その言葉の通り、色とりどりのシャツに身を包みながら楽しそうに施術をする大森氏。とにかく服が大好きでお休みの日は古着屋さん巡りをして洋服を吟味するという。似合うか似合わないかより、自分が好きな服を身につけたいという言葉の通り、色や柄の組み合わせを楽しみながら服をコーデしている大森氏。
「服選びは常にチャレンジって思っています。チャレンジした方が楽しいし、自分に楽しみを持った生き方をしていると、心が高揚して人生が楽しくなるんですよね。僕が楽しい服を着ていて、それを患者さんも楽しく感じてくれたら幸せだなと。自分が良いと思った物を一緒に良いと思ってもらえるのは自信にも繋がると思うんです 」。
感性や感覚を大切にする鍼灸という仕事。日常の中でも常に感覚を大切にするからこそ、自分の好きな物をとことん追求するという。その感性を研ぎ澄ませてくれる1番の方法が自然に触れること。青空鍼灸院は、患者さんに様々な感覚を感じてもらい、感性を豊かにしてもらうための究極の施術なのだという。
「誰かの癒しになる」を掲げ、様々なアプローチで心と体の不調改善に取り組む「ほてい鍼灸院」の鍼灸師 大森氏。今後は青空鍼灸院だけでなく、全国の方の不調改善に取り組んでいきたいと「全国人助け」の夢を掲げている。
ほてい鍼灸院
営業時間:10:00〜19:00(完全予約制)時間外の対応相談可
休日:不定休
メール:hoteisinkyu.since2021@gmail.com
電話:0586-82-1632
住所:愛知県一宮市天王3丁目1-20