世界中の大きなサイズの人を笑顔にする!
2023.07.02 :L-Life編集部

BIGな流儀 Vol.01 障害児通所支援事業所を展開する鈴木彰伯氏(116Kg)


心も体もビックな人の超一流な取り組みを掘り下げる「BIGな流儀」。様々な場所で活躍するビックな人たちが熱く掲げる「世界中の人たちを笑顔にする」本気の取り組みに密着するL-lifeの新連載。社会貢献という名のビッグメンたちの本気の取り組みは世界中の様々な人の人生を楽しく彩る潤滑油。

大きいサイズのメンズ服販売の第一人者でもある、ミッド・インターナショナルの新プロジェクト、大きな体の人の「誇り」にフォーカスした企画、Proud of 100k(プラウド・オブ・ワンハンドレッド)に参加しているビックな人たちの想いをお届けします。

身長186cm、体重116Kg、服のサイズは3Lと正真正銘のビッグメン

鮮やかなブルーの壁紙、事業所内に降り注ぐ明るい日差し、POPなキャラクターたちが彩る廊下、シンプルな外観からはとても想像ができないワクワク感が溢れる空間。外観は一見すると何の会社だろう?と素通りしてしまいそうなほどシンプル。中と外のギャップにまず驚く。

愛知県豊橋市にある障害児通所支援事業所「CHARAT(きゃらっと)」は今までの発想には無い障害者福祉施設として愛知県内に6店舗を展開。東海地方を中心にいま注目を集めている。
https://www.charat.co.jp/

「CHARAT」をはじめとする障害児通所支援事業を展開しているのが、株式会社TOMONY代表取締役社長 鈴木彰伯さん。身長186cm、体重116Kg、服のサイズは3Lと正真正銘のビッグメン!
(愛知県豊橋市を中心に「CHARAT」・「CHARAT NEO」など約180名の障害児童をサポートする放課後等デイサービスを展開)

驚くべきは鈴木社長のその経歴。
・全国ジュニアオリンピック 男子走り幅跳び 準優勝
・札幌インターハイ 男子ハンマー投げ 全国準優勝
・海邦国体 男子ハンマー投げ 全国準優勝
ハンマー投げ選手時代は、2004年アテネオリンピックで金メダルを獲得した室伏広治氏の父から指導を受けるなど、第一線で活躍。さらには、2005年には豊川市議会総務委員会副委員長、2007年には愛知県議会議員にトップ当選を果たし、行政の世界にも身を置いてきた経歴をもつ。

そんな鈴木社長が運営をスタートさせた「CHARAT」は今年で5年目。鈴木社長が50才の時に立ち上げた新規事業だ。

ハンマー投げの選手として活躍した若年期に多くの人に支えられ、今自分がここに立っていられることを痛感した鈴木社長は引退後、今度は自分が誰かを支えられる存在になりたいという想いから、障害のある方たちと多くのコミュニケーションを持ち、その後、彼らの代弁者として日本の障害福祉への考え方や取り組みを変えるために市議会議員に立候補したという。

「今まで本当にたくさんの支えをもらった。今度はそれを自分がやる番だと思う。障害を持つみんなの意見をね、たくさん聞く機会があって、でも彼らのその思いを彼ら自身が伝える事は難しいんだよね。だから、その想いを自分が伝えるべき、伝えたいと思った。」と当時のことを思い出すように話す鈴木社長。

ものすごいスピードと行動力を持った鈴木社長は、一見、考えるよりも即行動するようなタイプに見えるが、実際はその真逆。様々なリスクや分岐に対し、多くの予防線という名の準備を常に整えている努力家である。

そんな鈴木社長は言うまでも無く、愛すべきビックメン。身近にいるスタッフも家族もみんな鈴木社長が大好きな様子が今回の取材でひしひしと感じられた。そして鈴木社長もまたみんなを大きな愛で包みこんでいる。

その様子がすぐにわかったのが、取材で訪れた際のみなさんの挨拶。スタッフ全員が気持ちの良い挨拶を幾度も交わしてくれ、気遣いやおもてなしの気持ちを実感。挨拶は「会社の顔」とも言われるぐらい、その会社の色が見えるものだが、鈴木社長率いるCHARATのスタッフは常に鈴木イズムを胸に、愛に溢れた挨拶を大切にしている。

ちょうど取材訪問をさせていただいた日は、週に1度行われるスタッフ研修の日。全ての拠点のスタッフが一堂に介し、スタッフ主導の勉強会を行っていた。
研修の隙間に少しだけお邪魔し集合写真を撮影させてもらったのだが、笑顔、笑顔、笑顔のオンパレード。
こんなにも楽しく和気あいあいとした雰囲気は他ではそうそう見ることはできない。
笑顔に満ちあふれた集合写真に、鈴木社長の想いがしっかりとスタッフに継承されていることを実感する。

それにしてもこんなにも素敵な会社が日本にいくつあるだろうか? CHARAT で働くスタッフたちは笑顔で生き生きと仕事をしている。自分の未来を楽しむように日々挑戦し、鈴木社長の背中を追いかける。とにかく終始、圧巻の鈴木社長、社員さんたちは鈴木社長のことをどのように思っているのだろうか?

CHARAT 社員インタビュー

インタビューに答えてくれたのは取締役で管理者兼行動援護従事者の野崎さん。前職は福祉とは全く異なる仕事をしていたという。鈴木社長の魅力について野崎さんに聞いてみた。

「元々、福祉の仕事とは全く関係のない仕事をしていました。友人がCHARATに勤めていて、興味本位で面接を受けてみたんです。社長と話をしていたら、何でこんなに僕のことがわかるの?どこかで見られていたのかな?って思うぐらい、当時の仕事に関する僕の状況や気持ちを社長がズバズバ言い当ててくれました。途中で感極まって涙も止められなくなって、この人の側にいたい!一緒に働きたい!と思って今にいたります。」

若干20才の野崎さんは入社当初、人前でまともに話すことも出来ず、みんなの前に立つだけで足が震えていたそう。そんな野崎さんが鈴木社長に毎日毎日とにかく鍛えられ、今では自分の想いをしっかり伝えられるようにまでなったという。熱烈な「愛」の言葉にも捉えられるほど、鈴木社長への愛が伝わる野崎さんのエピソード。

野崎さんの原動力は、鈴木社長から受ける厳しさの中にある「愛」。怒られることも多いけれど、そこにはめちゃくちゃ愛がある。ただ単に失敗して終わりじゃなく、ちゃんと自分のことをわかって叱ってくれている。また頑張ろう、次は改善しよう!と素直に思えるからこそ、失敗することが怖くはない。
自分がそこで倒れて負けていたら自分って何なんだろうと奮い立たせられると語る野崎さん。

失敗を恐れることが一番のリスク

「失敗は大いにして欲しい。失敗がないと成長がないし、失敗から学ぶことは本当に多い。でも多くの人はやっぱり失敗にビビってしまうからね。僕は背中を押すっていうよりも、もう少し強い育て方でスタッフに接しているんです。」と野崎さんの話を聞き、自分に言い聞かせるようにつぶやく鈴木社長

「僕にとって社長は父のような存在で、とにかくカッコいい。だから、この人の側にいたら自分もカッコいい大人になれるんじゃないかって思っています。」とキラキラした目で語る野崎さん。

社員と社長の信頼関係、絆の強さを見せつけられた一幕。社員を家族のように愛し、また社員も鈴木社長を父のように慕う。この絶対的なホーム感があるからこそ、CHARATは強い組織を作ることができている。

内面からカッコよさが滲み出ている鈴木社長。もちろん内面だけでなく外見にもそのカッコよさは現れている。
インタビューをしたこの日は、裏地が鮮やかなイエローのデニム生地素材のジャケットをさらりと着こなし、インナーには爽やかかつシンプルな白Tシャツをコーディネート。シンプルなのに華がある自然体な着こなしが印象的。

実は、ミッド・インターナショナルのモデルとしても活躍されている鈴木社長。普段から洋服にはこだわりがあり、買い物もしょっちゅうするそう。お気に入りのお店はフォーエル豊橋佐藤店。週に2回は行くというほど洋服が好き。自身の服だけでなく、奥様やスタッフの服なども選ぶという鈴木社長は、誰かの為に何かを選ぶことが楽しくてしょうが無い様子。

相手のことを想像しながら、あれが似合う、これが似合うと考える時間でさえも自分の成長と捉える鈴木社長。常に学び、常に吸収し、自身の成長に繋げていくバイタリティーは並大抵のものではない。

そんなバイタリティー溢れる鈴木社長に、奥様としてはちょっと困っていることもあるとか・・・

鈴木社長 奥様インタビュー

「社長は本当によく物を壊すんです」と話すのは、CHARAT取締役副社長の千晴さん。鈴木社長の奥様で管理責任者をされている。

「社長は自分の体の大きさがわからないのか、歩くたびに色々なものを破壊します。たまに注意するんですけど聞いてないですね。車選びも大変ですよ、身長もあるので頭がつかえてしまって、体の大きさで購入を断念した車種もあります。」と鈴木社長の大きな体にまつわるエピソードを本当に楽しそうに披露してくれた。

どんなことでも学びに変えてしまう鈴木社長は外に出ることは勉強と捉え、お休みの日は必ず奥様とお出かけ。外に出て様々な物を感じることで感性や感覚を養っている。それらを自分と同じように社員や奥様にも感じて欲しいという思いで、一緒に外へ出て様々なサービスも体験しているという。

「食事や買い物などに連れて行ってもらいます。テーブルマナーとか色々な事を学んでいます。本当にありがたいです。」と野崎さんは語っていた。

人材を「人財」として捉える鈴木社長ならではの社員へのおもてなしなのだと感じる。その鈴木社長からのおもてなしをしっかり自分たちの財産・学びにしようと試行錯誤するスタッフたち。相互を思いやる心、愛に溢れた会社がCHARATだ。従業員からも家族からも愛される鈴木社長、そもそもなぜ障害者福祉の世界へ飛び込んだのだろうか?

福祉事業に対する鈴木社長の思い、これからやりたいこと

冒頭でも少し紹介をしたように、若かりし頃はハンマー投げの第一人者として活躍した鈴木社長。

「若い頃はスポーツしかやってこなかった。コーチや周りの人にたくさんのサポートを受けて、自分がスポーツの世界で栄光を手にすることができた。」と語る。

スポーツで頂点を極めた鈴木社長がなぜ障害者福祉事業を手がけることになったのか?

「ずっとスポーツだけをやってきて他の世界を何も知らなかったんですよ。そのときにね、たまたま障害者施設を見学に行く機会がありました。その施設の光景を見たときに、自分は今までどれだけ幸せだったのかなと気づかされた。それでね、自分が今こうしていられることは技術を教えてくれたコーチやライバルがいたからこそで、そのサポートがあったからやってこられた。今度は自分が誰かのサポートをする番だと思ったときに、障害を持つ子供たちと出会ってこの子たちを自分がサポートする番だと強く思ったんです。」と当時を振り返りながら語る鈴木社長。

基本的に「やらない」という選択肢は持たない、目の前にきた物は掴むようにしているという信念通り、障害者施設見学が運命を大きく変えた。施設見学をきっかけに、福祉と深いつながりを持つように。

福祉のことも障害がある人のことも全くわからない、福祉大学を出ているわけでもない、そんな自分がどこまでできるかわからないけど、いままで自分をサポートしてくれた人たちの想いや力の強さを知っているから、今度は自分の力を誰かに届けたいと思い、27才の頃にグループホームのような場所で障害のある方たちと生活を始めたという。

一緒に生活する中で彼らが様々な声を伝えてくれた。その多くは社会の中での生きづらさだった。客観的に何かしてあげたいと思う声は多いものの、それを行動に移すことが難しい世の中。「●●がこうだからできない」「●●が悪いよね」と、批判の声は聞くものの、その想いはどこにも届いていない状況。

これでは何も変わらない、ましてやサポート自体が不可能になる可能性も高いと判断し、障害のあるみんなの言葉・声を自分が世の中に伝えないといけないという使命に駆られたそう。障害を持っている人の声を知ってもらおうと思い、鈴木社長が起こした行動が市会議員になることだった。障害を持った人の代弁者として選挙期間中必死にマイクで訴え続けた。その想いが伝わり、無名で推薦もない立候補者が見事に当選を果たした。

議員となった鈴木社長は障害者福祉と学校教育に力を注ぎ、持ち前の勝気で他とは違うアプローチを打ち立てていく。その活躍ぶりは異色の才となり、豊川市議会総務委員会副委員長を経て愛知県県会議員へ立候補。2007年にトップ当選を果たした。さらに鈴木社長は福祉の現場から障害者差別の禁止条例(「愛知県障害者差別禁止条例」)を知事に提案し、福祉改革の先駆者となる。

「あのときは本当に自分の中でもよくやったと思うし、県会議員になった意味があったと思っている。」と話してくれた。

一方で政治独特の難しさと直面し、上に行けば行くほど政党政治の困難さ、政党に対する世の中の見方に苦しむ場面もあり、落選してからの10年は心の葛藤、苦しみも多かったという。様々な事を考えさせられた40代、もがきとつらさの中に身を置き、ふと50代で自分の人生を振り返る機会に出会った。

今までの出会いとご縁の中で障害のある方たちと出会い、自分の声でマイクを通して障害者福祉への想いをうたってきた責任が自分にはあると感じたそう。伝える事、改革すること、国や県というバックグランドを背負って発信はしてきた、でも自分自身がそれを形にしていないなと気づいてしまったのだ。

だから鈴木社長は、自分が今まで掲げてきたことを自分の力でこの世の中に新しい福祉の形を作り、後世に残していこうと思ったのだという。それが新たな目標となり、CHARATの原点でもある。

障害者や福祉は一見すると商売とはかけ離れた世界にあるように見える。とは言え、子供たちは自分たちの未来をCHARATに託しに来ている。だからこそ、子供たちが将来的に自分で考え自分で楽しい未来を選択できるように、障害者福祉のプロとして彼ら個々の障害特性に合わせたことをどうやって仕掛けていくか?ということに真剣に向き合う必要がある。子供たち自身が自分で挑戦できるようにするためにも、単なる指導ではなく親の協力を得ながら親と一緒にどうあるべきかをプロとして真剣に考えているという。日本全国には数万もの障害者福祉施設が存在する。福祉サービスがただの預かりでいいのか?というとそうではない。

「障害者施設を利用する多くは小学生で、人間が1番成長を促進される時期でもある。成長過程の中で1番大切な時期に、私たち福祉のプロが子供たちに何を仕掛けるべきか?その仕掛け方でこの先の未来や先々が決まってしまうわけだから、この重要な時期に1人1人に確実な提供が必要。」と子供たちの自発的な未来を作るためにサービスとして全力以上を尽くす鈴木社長の姿勢は希望に溢れている。

鈴木イズムはもちろんCHARATのスタッフたちにもたたき込まれている。このイズムを理解することできれい事ではない障害を持つ子どもたちの未来まで受け止める覚悟と責任をたたき込んでいるという。

CHARATでは週に1回、各事業所のスタッフが本社に集まり福祉のプロとしての研修を行う。また、子供たちを受け入れる側が楽しくあることが絶対条件の福祉の世界では、受ける側が楽しくやれないと子供たちに楽しさを提供することはできない。そのため会議も「楽しくやる」、日々の仕事も「楽しくやる」。グラッチェというアプリで社員同士を評価し、日々感謝の気持ちを送り合っているという。

取材で撮影した集合写真もポージングを含め、社員全員が楽しみながら自然体の笑顔でカメラにおさまってくれた。それがCHARAT、鈴木社長のイズムが社員にしっかりと引き継がれている証拠だろう。

華麗なる交友関係

魅力に溢れた鈴木社長は交友関係も広く、社長室のドアには華道家の假屋崎省吾さんのサインも。

多くの著名人と交流がある鈴木社長。社会貢献の枠を遙かに超え、日本の障害者福祉に新風を巻き起こし、新しい福祉のスタイルを作り出そうとしているその姿は永遠の挑戦者であり「変わり者」。そしてブラックホールのように無限の魅力を持ち、またその魅力に多くの人が心を動かされ、鈴木社長と共に大きな何かを為しとげたいとさえ思う。

もちろん厳しい面も持ち合わせ、叱るときはしっかりスタッフに叱るところもあるが、ガチャピンの着ぐるみを着て写真を撮ったりするおちゃめさも持ち合わせている。常に前向きで勉強好き、プラス発想な鈴木社長。目的をまっすぐ見据え、それに向かって一直線に走って行く姿は大人の自分が見ても相当カッコいい。

心も体もビックと呼ぶにふさわしいBIG MEN。「体が大きい方がメリットが多いし、良いことしかないよ。」と言い切るのもまたカッコいい。

今後は福祉事業にとどまらず、様々な展望を考えているとのこと。鈴木社長の更なるワクワクを応援したい。

写真は鈴木社長も大好物の豊橋名物あんかけスパ。あんかけスパの老舗「スパゲッ亭チャオ」で名物ランチのバイキング。古くから愛される地元の味。

温かく深い味わいで何度でも食べたくなってしまう中毒性は鈴木社長と相通ずる物がある。

株式会社TOMONY 鈴木彰伯(すずきあきのり)

人や組織」を進化させることで、「みんなの日常」を新しくしていくというビジョンを標榜し、
「CHARAT」・「CHARAT NEO」
「CHARAT UNO」・「CHARAT JUN」
「CHARAT ami」・「CHARAT YUI」
の6つの障害児通所支援事業所を展開。
https://www.charat.co.jp/

この記事を書いた人: L-Life編集部
L-Life編集部
20代から◯代までの女性、男性が集まるL-Life編集部。
体の大きな人の生活をより豊かに、笑顔あふれる毎日を創るをコンセプトに、大きいサイズの人たちへ情報を発信中。

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