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2021.12.20 :馬渕まり

血圧と高血圧と肥満のお話し 馬渕まり先生に聞く肥満関連の病気

馬渕先生の連載3回目のテーマは「高血圧」です。そもそも血圧ってなに?という人にも優しく説明されています。

天高く馬肥ゆる秋…。暑さも落ち着き馬も食欲を増してよく育つという意味の言葉ですが、元々は「たくましくなった馬に乗り、騎馬民族が襲ってくるから気を付けよう」という故事に由来するそうです。はい、初っ端から脱線の馬渕まりです。今回は前回の糖尿病に引き続き、肥満に合併しやすい病気の第2弾『高血圧』をお送りいたします。

血圧と心臓の話

高血圧の前にまずは血圧の話から。私たちの身体に流れる血液は酸素や栄養、老廃物を運ぶ大切な役目を持っています。血液を全身に巡らすポンプの役目をしているのが心臓です。拡がったり縮んだりして血液を全身に送り出します。血圧とは心臓が血液を送るときに「血管にかかる圧力」のことです。血圧を決める主な要因は、心臓が送り出す血液量(心拍出量)や血管のやわらかさ(弾力性)です。その他にもありますがひとまず置いておきましょう。心臓が収縮して血液を押し出すときのほうが血管に圧力がかかりこれを収縮期血圧と呼びます。いわゆる「上の血圧」です。これに対して心臓が拡張し血液が心臓に戻るときの血圧を拡張期血圧と言います。こちらが「下の血圧」です。

血圧の正常値は?

血圧は常に一定ではありません。極端な例を挙げると走った後など、心臓がバクバクしているときは血圧も上がっていますが、それを高血圧とは言いません。日本高血圧学会の高血圧診断基準を見ると、診察室での収縮期血圧(上)が140㎜Hg以上、または拡張期血圧(下)が90㎜Hg以上の場合を高血圧と診断します(※)。ご家庭で測る場合はそれより5㎜Hg低い135/85が基準となります。さてここで単位に注目!㎜Hgって何ぞや?実は血管にかかる圧力は大変高く、水を用いて測ると2m以上の機械になってしまいます。動脈を切った時に血がぴゅーっと吹き上がることからわかりますよね。このため血圧を測るために比重が13.6と大きい水銀が用いられました。現在は水銀が有害とされるため、水銀式血圧計は減っていますが、単位はそのままHgです。また脱線しますが、キリンは長い首の先にある脳まで血液を送らないといけませんのでヒトより2倍くらい血圧が高いです。

※成人における血圧値の分類
厚生労働省e-ヘルスネットより引用

どうして高血圧になるの?血圧が高いとどんなことが起こるの?

高血圧には本態性高血圧症と二次性高血圧症があります。高血圧の方の9割は本態性(他の病気が原因ではない)高血圧です。高血圧の原因も糖尿病と同じく体質(遺伝)と環境要因です。環境要因には、塩分のとり過ぎ、肥満、運動不足、ストレス、多い量の飲酒、喫煙などの生活習慣があります。これはしょうがないですが、加齢でも血圧は上がります。

では血圧が高いとなぜ悪いのでしょう。まぁ、端的に言うとパイプに高い圧力がかかっていると壊れやすくなるのと同じです。高い血圧が続くと血管が傷み、弾力性がなく破れやすい「動脈硬化」になります。また、高い血圧の状態は心臓が頑張って圧を上げている状態なので「心臓に負担がかかる」ことになります。このため、高血圧が続くと血管や心臓の障害がおきてきます。

まずは「動脈硬化」から。血管が硬くなると血液の流れが滞り、そこが狭くなったり血栓ができたりします。動脈硬化は全身の血管におこり、脳の血管が詰まってしまうと脳梗塞、心臓を栄養する血管が詰まってしまうと心筋梗塞になります。いずれも命にかかわったり後遺症を残すことも多い恐ろしい病気です。また、硬くなった血管は破れやすいため、脳の血管が破れて脳出血を起こすこともあります。

次に心臓について。心臓負荷が続くと、心臓は頑張って筋肉を増やします。しかし、このように肥大化した心臓は繊維組織が増え、弾力性が低下、最終的には血液をきちんと送り出せない「心不全」の状態になってしまいます。肥満の人は高血圧がなくても大きな体を維持するために心臓ががんばって力尽きやすく心不全のリスクが高いです。お気をつけて!

高血圧による心臓への負担は不整脈を引き起こすこともあります。不整脈の種類によっては心臓に血栓ができ、これが脳の血管にとんで脳梗塞を起こすことも。さらにさらに高血圧は腎臓にも悪影響を及ぼし、腎不全の原因となります。腎臓が悪くなると余分なナトリウムが排出できずますます高血圧になる悪循環に陥ります、こわい。もうおわかりでしょうが、心血管による死亡は、血圧と相関があります(特に若い人)。

ちなみに高血圧も糖尿病と同じく、いやそれ以上に自覚症状に乏しい病気です。血圧を知るには血圧計で測るしかないので買いましょう。数千円です。まだ血圧計をお持ちでない方は腕で測るタイプのほうが正確に測れるので良いです。マンシェット(血圧を測るとき腕に巻くゴム嚢が入った布)を巻くのがめんどくさい人は、プラスチックの筒に腕を突っ込むタイプをおススメします。こちらのタイプ、お値段は1~2万円程度。

太っていると高血圧になりやすい?

イエス!高〇クリニック!肥満の方が高血圧症を発症する率は、肥満でない人に比べて2-3倍というデータがあります。理由についてですが、まず食事量も多いため、塩分の摂取量が多い。必ずしも塩分が多い=血圧が高いではありませんが、塩分摂取で血圧が上がる体質の人が塩を摂りすぎると、血液中のナトリウム濃度が上がり、それを薄めるために水分が血液中に入るため、血液量が増え血圧が上がります。日本人は塩分で血圧が上がりやすい人が多いようです。その2、過食で分泌されたインスリンがカテコラミンを分泌して末梢血管が収縮し血圧が上がる。その3、肥大した脂肪細胞から血管を収縮させる物質が出るので血圧が上がる。この他、肥満による睡眠時無呼吸の合併で高血圧が助長されることがあります。

高血圧を予防するには?

先に挙げた環境要因をつぶすことが予防につながります。塩分を過剰に摂取しない、肥満がある人は痩せる、運動する、お酒を飲みすぎない、禁煙するですね。4~5㎏減量、体重の3%の減量で有意に血圧が下がるという研究結果もありますのでコツコツいきましょう。基本は食事と運動です。

頑張っても下がらない場合は心血管疾患の予防のため薬を飲むことも必要です。このあたりはお医者さんに相談です♪

編集部からの質問と馬渕まり先生の回答

血圧はどれぐらいの頻度でチェックすればいいのでしょうか?年に1回の健康診断でも大丈夫でしょうか?

1年に1-2度だとその時がたまたま低い(高い)可能性がありますので、血圧が高めと言われたり45歳を過ぎたあたりで血圧計の購入をオススメいたします。理想は毎日同じ時間に測定ですが、まぁ週2-3度でも。

加齢による血圧上昇は食生活と運動で避けることはできるのでしょうか?

加齢によるところはしょうがないですが、食生活と運動習慣で血圧の上がり方を緩やかにはできます。

塩分は塩辛いもの以外にも含まれるのでしょうか?含まれていないと思っていたものに含まれていそうです。

基本的には味の濃いものに塩分が多いです。ちくわなどの練り物や、おつまみ系の乾き物はそこまで塩味がしないのに塩分多めです。あとは味噌汁やウドンだし、ラーメンのスープ。水に溶かすと、直接味わうより塩味を薄く感じてしまうため塩分過剰となってしまいます。味噌汁は具を食べて汁を残す、ラーメンのスープもなるべく残すようにしたいですね!ちなみにラーメンのスープ大好きなので泣く泣く残しています。特に豚骨大好き!

練り物、味噌汁も塩分多めだったんですね。味噌は塩分控えめのにするとか注意しないといけないですね。ラーメン好きにとってはラーメンのスープは難しいかも…。

というわけで、次回もお楽しみに!

この記事を書いた人: 馬渕まり
馬渕まり
糖尿病専門医、総合内科専門医
広島県生まれ、秋田大学卒。現在は愛知県の病院勤務。
歴史好きの女医=歴女医として各種メディアで活躍中。趣味は旅行と食べ歩き。

Twitter https://twitter.com/rekijoymary
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