お鍋やしゃぶしゃぶなど、温かい料理を食べたくなる冬。鮭の旨味が染み渡る石狩鍋や、脂が乗った寒ぶりを使ったぶりしゃぶなど、魚介類を使った冬の美味しい食べ物はたくさんあります。
冬は、さまざまな魚が脂を蓄えて旬を迎えるシーズンです。「冷えるけど釣りに行こうかな」「釣りの後に食べるアツアツの鍋が美味しいんだよね」と、寒さに負けずアウトドアを楽しもうと考えている方もいるのではないでしょうか。
今回は冬の魚の中でも特に人気のあるものとおすすめのレシピ、釣りスポットを紹介します。「美味しい冬の魚とレシピを知りたい!」と考えている方は、ぜひチェックしてみてください。
「冬の魚」といえば、キンメダイやマダラなどさまざまな魚が挙げられます。冬に釣れる魚のなかでも特におすすめの魚を、レシピと釣り方と共に10種類紹介しますね。
真っ赤な見た目が印象的なキンメダイ。クセのない優しい味わいと脂の旨味が魅力で、煮物や汁物に使う魚として人気があります。
地域によって旬の時期が異なりますが、静岡県周辺で釣れるキンメダイは冬に食べごろを迎えます。
キンメダイを美味しくいただくなら、煮付けにしてみましょう。煮込むときは身が崩れないよう、なるべくひっくり返したりお箸で触ったりしないのがコツです。煮汁から出ている部分には、お玉で煮汁をかけるようにしてみてください。
キンメダイは水深200〜500mと、比較的深いところに生息しています。餌を狙って夜は泳いでいる深さが少し浅くなることもあるので、時間帯によって針を投げ込む場所を分けてみましょう。
大きい個体だと体長が1mを超えることもあるマダラ。小魚や甲殻類をたくさん食べる大食いの魚として知られており、満腹になった様子を示す「たらふく(鱈腹)」の語源になったとも言われています。
表面のまだら模様がクッキリしていて、体にハリを感じるものが食べごろですよ。
淡い味わいのマダラを食べるときは、味噌にしっかり漬け込んでから焼いてみましょう。味噌の甘辛さが食欲を刺激します。切り身の表面に砂糖を塗りこむことで、マダラ特有の臭みを軽減できますよ。
マダラは、水深150〜250mの海底近くでよく泳いでいます。大陸棚から大陸斜面域で見かけることも多いので、必要に応じて船に乗ってポイントまで移動しましょう。生息水深は、北に向かうほど浅くなる傾向にあります。
カワハギは、口がキュッと前に出ているのが特徴的な魚です。頭から皮を簡単に外せることから、「カワハギ」という名前が付けられました。
触ってみて硬い個体や、丸々と太っているものが食べごろとされています。
煮付けによく使われるカワハギですが、刺身にしても美味しいですよ。下が透けるくらい薄く切り、食べるときは何枚か重ねて醤油やポン酢にくぐらせてみてください。
カワハギは海水魚で、水深100mよりも浅い砂地によく生息しています。堤防・船上・浅瀬などさまざまな場所で釣れるため、釣り初心者にもおすすめですよ。
コノシロは、体長が30cmになることもある魚です。体長7〜10cmだと「コハダ」、体長が15cmを超えると「コノシロ」と呼ぶようになります。
臭いがするイメージを抱いている方もいると思いますが、釣れたらすぐに下処理をし、調理前に下味をしっかりと付けることで美味しくいただけますよ。
コノシロを食べるなら、刺身か焼き魚にするのがおすすめです。刺身にする場合は、身を細長く切って骨のある部分を取り除いてみましょう。焼き魚は、塩をたっぷりと振って召し上がってみてください。
コノシロは、湾内や海水と淡水が混ざる「汽水域」という場所で回遊していることが多い魚です。港の堤防や河口でも釣れるので、初心者もチャレンジしやすいと言えるでしょう。臭いが気になる場合は、できるだけ水質の良い場所で泳いでいる個体を釣ってみてください。
ボラは、全長が平均50cm、大きい個体だと80cmにもなる魚です。「臭い」というイメージが付きがちですが、それはボラが雑食性で水質汚染に耐性があり、水質が悪いところに生息する個体は身が臭くなりやすいからです。
きれいな海で獲れるボラはマダイやヒラメに匹敵するほど上質な脂が乗っており、とても美味しいですよ。
冬のボラを食べるなら、煮物にしてみましょう。醤油や出汁の味が身の奥まで染み渡り、炊きたてのご飯とよく合いますよ。普通の鍋でも作れますし、時間を短縮する場合は圧力鍋を使うのもおすすめです。
ボラは、河川の汽水域や内海などによく生息しています。水質汚染に強いため、都市部や少し水が濁った河川で見かけることも。美味しいボラを釣るなら、水がきれいな場所を選んでみましょう。
エイリアンのような見た目がインパクト大のアンコウ。オスとメスで身体の大きさがかなり異なり、オスは体長10〜20cm、メスは体長1〜2mまで成長すると言われています。
食用としてよく釣れるのはメスの方で、身が柔らかくて食べやすいですよ。
あっさりとした味わいのアンコウは、塩コショウのみで味付けをして片栗粉をまぶし、唐揚げにするのがおすすめです。外側はカリカリ・サクサク、中はふっくらとしており、ご飯や日本酒が進みそうです。
アンコウは、夜になると活動的になる個体が多い傾向にあります。ライトの明かりに集まってくるイカや小魚を狙い、アンコウが顔を出すことも。冬の夜はとても冷えるので、しっかりと防寒してから海を訪れてくださいね。
クエは、九州をはじめ日本各地で釣ることができる高級魚。全身にまだら模様を描いたような見た目が特徴的です。
2kgを超えると「超高級」とも言われ、市場では1kgあたり1万円にもなることがあります。
冬のクエを食べるなら、お鍋の具材としていただいてみましょう。嚙めば嚙むほど旨味が溢れ、身がほろほろと溶けていく感覚はクエならでは!残った出汁にもクエの旨味が染み出ているため、雑炊をシメにするのもおすすめですよ。
クエは、水深が200mより浅い沿岸部や砂底、大陸棚周辺の岩礁などに生息しています。磯釣りのなかではかなり難易度の高い魚なので、寄せエサや釣り具の準備をしっかりと整えておきましょう。
身体が平べったいことからその名がついたヒラメ。冬に漁獲されるヒラメは「寒(カン)ビラメ」とも呼ばれ、肉厚で脂がたっぷりと乗っています。
特に福島県沿岸で獲れた寒ビラメは「常磐(じょうばん)もの」と呼ばれ、料理人や食通から高く評価されています。
淡白な味わいのヒラメを食べるなら、ムニエルにするのがおすすめです。バターの香りと塩コショウの下味が効いていて、ご飯やパンがどんどん進みますよ。
冬のヒラメを釣るなら、外海に面した堤防の先や角、岩礁が狙い目です。水深の分布が広く、水深1m程度のところで釣れることもあれば、水深20mのところで釣れるケースもあります。ルアーフィッシングだけでなく、餌釣りでも釣ることが可能です。
ブリは、成長具合によって名称が変わる出世魚です。地域により異なりますが、関東の場合は体長15〜30cm程度のものをワカシ、30〜50cmをイナダ、50〜60cmをワラサ、60cm以上をブリと呼んでいます。
ブリのなかでも「寒ブリ」は、脂がたっぷり乗って丸々と太っており、冬場に水揚げされた天然物のことを指します。
寒い冬は、寒ブリをあつあつの出汁にくぐらせてしゃぶしゃぶにしましょう。寒ブリを厚めに切るのもよいですし、野菜をたくさん用意してお腹いっぱい食べるのもおすすめです。
寒ブリは、船と陸の両方から狙えます。水深100m以上のところに生息しているケースも多いので、道具はしっかりと用意しておきましょう。
重さが10kgを超える個体もいるため、頑丈な網を用意しておくのもおすすめです。
外敵を威嚇するため、ぷくっと身体を膨らませて針を出すのが特徴のフグ。フグの名産地である北九州や山口県の下関では、縁起を担いで「フク(福)」と呼ぶこともあります。
一口目は淡白な味わいですが、噛めば噛むほど甘くて濃い旨味がじわじわと出てくる美味しい冬の魚です。
フグといえばしゃぶしゃぶか刺身で食べる機会が多いと思いますが、実は干物にしてお茶漬けにするのも美味しいですよ。ただしフグには可食部分とそうでない部分があるので、不安な方はお店で切り身や干物を購入して作ってみてください。
フグは、河口・砂浜・堤防などいろんな場所で釣ることができます。水深50mより浅いところに生息しているケースが多いので、初心者も挑戦しやすいですよ。
冬に旬を迎える魚は脂をたっぷり蓄えたものが多く、旨味をいつもより感じられるものがたくさんあります。釣りに行く際は、防寒対策もしっかりとしておきましょう。
今回紹介した魚を釣ったり、購入したりして、ぜひ冬の味覚を堪能してみてください。